中学校教員と小学校教員の違いは1人で全部教えるか、専門の教科1つを教えるか…と言うことだと思います。でも実はもっと大きなことがあるのです。それは部活動の顧問をするかしないかなのです。部活動は教育課程外なので、そんなことは、と言いそうですが、この部活動がかなりやっかいでした。私の前に理科でその新任の勤務校におられた先生が男子バスケットボール部の監督(正式にはコーチになります。バスケットボールはコーチがチームを仕切ります)が異動でした。そのため女子の監督が男子の監督になり、私が女子の監督になりました。男子の監督に平行移動した前女子監督は大学までバスケットボールをしていた体育教師で体育以外で初めてボールに触れる私とは雲泥の差でした。そんな指導力の無い、経験が浅い新任教師の私が思春期のやややさぐれた、ただでさえ難しい女子の指導なんてできるはずありません。
それでも試合には連れて行かねばならず、言うことも聞かない十数名を引率して保護者に悪く言われながらも毎日練習しなければなりません。理科の授業でどうしても指導に従わない難しい生徒がいても、それは週に3回、3時間頑張れば済むことです。でも部活動では朝練から毎日の部活動、土日の練習、試合、大会と本当に顔を合わせない日は無いのです。他の先生を見ると自分の専門で高校までプレーヤーだった種目の指導をしたり、多少スキルは無くてもベテランの貫禄で上手に指導をしていたり、同期の教員は、5月採用だったこともあり、副顧問として比較的軽い立場で指導に参加し、とても楽に見えます。何で私だけ…そう毎日思っていました。
朝6時半頃の出勤時に「あの信号が青だったらそのまままっすぐ街まで行って遊びに行こう」本当にそう思った日が何度もありました(学校はその信号で右折なのです)。青になったらどんな言い訳を考えて年休を取ろうとも思ってその交差点に入りました。不思議なことにそう思って行きたくない状態の私の車はいつも赤が出て右折レーンに入ることを余儀なくされるのです。
理科の授業はいい、技術の授業も大丈夫。学級経営も嫌じゃ無い(まだ担任を持っていませんでしたが)。でも部活動だけはこの1年どうしても好きになれませんでした。教育課程外なら学校でやらなくてもいいんじゃないか。勤務時間もとっくに過ぎている(自主的との名目でさせられるのです)。社会体育で誰かやってくれないかな…そうも思いました。教委に知人がいたので「部活動を無くすことはできないか」などと劣悪勤務環境を訴えて直訴したこともありましたが「それは絶対できない。これから先もずっとだ」そんなつれない返事でした。まさか、そこから40年後に部活動が学校から解き放たれる日が来ようとは。その知人もびっくりだったでしょう。
とにかく、部活動がなくなる日を祈りながら(そんな日は絶対来ませんでしたが)、毎日練習に付き合いました。審判も覚え、審判用のユニフォームも揃え、合宿も行い、後援会も作って、保護者と酒を酌み交わすようにもなり、大会でも準決勝くらいは狙え、最後には全日本の 実業団バスケットボール(今のBリーグ)が来たときには役員としてサブスコアラーの大役を務めるまでにはなりました。卒業生と何とも会い、昔を懐かしがり、いい経験だったと笑顔で話せる自分がそこにいました。でもどう考えても対価としてはとても小さく、これからの先生にはお勧めできない課外ボランティアでしょうね。次の野球部ももちろんそうです。


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