⑳常に辞表を内ポケットに

教師として考えること

 生徒指導担当を受ける際、「これは大変なことになるな」と思ったのは間違いありません。同時に今までの担当の先輩たちはこんな気持ちで職に向かっていたのかと感心したと同時に、それでもここまでひどい状態ではなかったろうに…となぜ自分だけと可哀想に感じていました。

 担当を拝命し、「本日のシフト」を始め、いくつもの施策を行っていくことでこれから先、こんな仕事をずっとしていくのだろうかという疑問にもさいなまれました。学校長があと3年で定年を迎えます。校長室で2人で話す中で、「私もあと3年でこの仕事を降ります。3年経ったら素晴らしい学校にするので、私を小学校に異動させてください」。2人だけで他愛も無い話をしていた校長室でそう言いました。「分かった。その希望は叶える。でも本当にそれでいいのか」。中学校で実績を積み重ねてきた者としてそれなりに処遇できるポジションに推薦できる。わざわざ一度も経験したことの無い小学校に実績ゼロからスタートするのは気の毒だ。言外にそういう思いを持たれているのだろうと思いました。

 私自身は元々小学校教員養成課程を卒業し、小学校の担任として勤務したい思いがあるので、このまま中学校にいても、そして多分校長が望むような県教委や管理職試験を受けるようなことは希望しないので小学校希望だけを伝えました。35歳になる歳なので、県教委の指導主事試験を受けたらいい順位で推薦できると言ってもらったのですが、それも希望しませんでした。

 あまり、教育行政には信頼がもてずにいたのと、やはり最初目指した小学校で一度は働きたいと思ったことが大きいです。その上で、一度やってみたかったのが常に左胸のポケットに「辞表」を入れておき、いざというときにはこれを出そうと思っていました。それを初めて人に見せたのがそのときの校長でした。さすがにこれは驚かれました。そこまで気持ちを入れて取り組

んでくれていたのかと。それなら自分も入れておかなければならないと思われたようでした。

画像
レターケースにあった当時の辞表です

 教職41年目の今でもレターケースの奥にそのときに作った手作りの封筒に入った辞表がありました。それを眺めながらしみじみと当時を思い返します。辞めずにずっと続けられているのが幸せです。

コメント