青少年の科学体験まつりや全国の競艇場イベントで実験ブースをしていて日本科学協会とよく一緒に仕事をしていました。大学院の担当教授もここの理事をしていたことから、笹川科学研究助成もいただいており、関係は深かったと思います。研究助成や実験イベントの講師については前述していますが、さらに「体感型大型実験装置」の計画があることは実はよく知っていませんでした。
研究助成や実験イベントでお世話になっている部長の方からお話があり、「全国の科学館が新規実験装置ができずに困っている。来館者も減ってきており、魅力ある大型実験装置の開発が望まれている」とのことでした。すでに「台風がやってきた」という大型実験装置開発が動いており、その第2弾ということで光に関する大型実験装置を作ってほしいという依頼でした。担当教授や実験サークルの代表など3人で動き出した「光分科会」ですが、そこに私も入ることになりました。私のような文系小学校教員が入ったところで何になる?と思いますが、科学的な視点よりより楽しく面白く見せる見せ方の工夫…が必要だということでなぜか私がその分科会に入りました。
専門の光の研究者(京大助教)の方も含めて月に1度京都をベースにして分科会が開かれました。なかなかこれが難題で、簡単に光実験を並べればいいというものではなくて、コンセプトとかフィロソフィを叩き上げるのに1年以上費やしました(結局アラカルトでもいいということでしたが)。
業者も途中で交代し、また一からのスタート。月1で相談する前にも一度は打ち合わせをと、ホテルに泊まりこみ相談したり、概要を印刷したり、デモ機を作ったりしては「没」になり廃棄したりと凹みながらも少しずつコンセプトを整え、機材を入手してデモ機を作り、披露したりと大変ながら少しは楽しみもありました。まずまず予算がついていたので、そのような機材の材料や旅費もいただけ、それなりに充実していました。期限が設定され、そこまでに何とか仕上げないと…というプレッシャーは常にありましたが、逆に自分たちが作った装置が日本中の科学館で展示されるんだという喜びは他では味わえないものでしょう。ミストスクリーンや赤外線盗聴器、飛び出す映像など学校の理科室でいくつもデモ機を作ってはダメ出しを食らい、しょげて帰ったことを思い出します。
それでも2010年には12基の大型実験装置群が完成しました。もちろん正確に図面を引き、それに基づいて設計・製作したのは専門業者です。でも一応アイデアはこちらから出したものです。「光の肖像画」「光が反射しない部屋」「ホワイトアウト」「正反対ミラー」「巨大目玉ロボット」「3D幻灯館」「動く3D写真館」「光の散歩道」「透視の部屋」「紫外線写真館」「光のマイク」「レーザー原理模型」の12基です。アラカルトとはいえ、赤外線、紫外線、可視光線、レーザー、鏡、反射光、偏光などいろいろな分野の光実験を集め、それが実現しました。私は特に「正反対ミラー」「光のマイク」「動く3D写真館」「紫外線写真館」の4つに注力しました。デモ機を何度も作り直したことを思い出します。
全国13の科学館で展示が行われ、その解説指導に何度も出かけました。川口、日立、仙台、旭川、宇都宮、大垣にほとんど単独で出かけました。最初は本当に説明できるのだろうかドキドキしましたが、慣れたら何とかなるものです。本業の教員をしながらなのでスケジュールが密でしたが何とかクリア。これもいい経験でした。総額数千万円もの実験装置群でした。こんな経験は本当にできないでしょうね。それがあったからこそ、元文部大臣の方ともパーティで懇談できました。
こんな実験装置も10年も経つともう古くなるのですね。周防市の科学館を最後にそこに寄贈され、その機材もすでに撤去されたようです。「台風がやってきた」「光の謎を解き明かせ」この2つの体感型大型実験装置もその後の「人間」「携帯」などのテーマで分科会を作られたようですが、どうも実験装置群にはならずに撤退を余儀なくされたようです。そう考えると一応形になり、全国を回ることができたというのはありがたく嚙み締めるべきだと思いました。
教員の世界から飛び出しましたが、「面白くは」最高だった企画でした。


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