⑥時間のかかる実験準備

理科教育

 22歳の教員1年目、学級担任なし、2年生4クラスの理科授業12時間と1年生技術の6時間で計18時間の授業を週に行います。メインの校務分掌は警備防災。これは新任教員の登竜門でしたがそれでも年に2回の避難訓練を仕切るだけなのでそんなに負担ではありませんでした。理科の授業は毎日準備をして実験をしっかり行い、上手くいかないことも多くありましたが、自分がやろうとしたことなので何とかやっていけたと思います。とりあえず理科で自分より知識があってやり込められるような生徒はいなかったですから。ただ、かなり荒れた学校で、多くの先生方がその対応で苦慮されていました。自分の中学校の頃はどれだけみんな真面目だったんだろうと思い返しました。こちらの話す一言一言に突っかかってくる生徒も少なからずおり、すべてにかまうと授業が成立しなくなり、指導するかそのまま進めるかのバランスに苦労しました。ただ、実験は好きだったので、「これをやったら多分あいつら腰抜かすぞ」「ここで予想を裏切った結果をだしてやる」などとほくそ笑みながら準備していました。

 寒冷前線面と温暖前線面の仕切りを見せる実験で、水槽に赤いインクの少し温度の高い水と、青いインクの少し温度の低い水を左右に入れ、真ん中に板でしきりをします。その仕切りをさっと外すことで青いインクが赤いインクの下に潜る様子が見られます。ちょっと斜めに前線面がなる感じです。それを演示実験で見せようと思ったのですが、教科書や指導書には簡単にできるように書いてあります。でも実際にやってみると本当にできないのです。この実験は1回勝負です。つまりやり直しがきかないのです。2色の水は混じってしまい、失敗したら水槽をきれいにして温度差のある水を用意し、仕切りを入れ、またゆっくり水を注ぐところからやり直しなのです。予備実験をすると上手くいくまでに15回くらい失敗しました。温度差がありすぎると上手くいかないので温暖と寒冷の温度差は5度くらいにしました。ようやく準備ができ、温度差も確認して水を流し、仕切り板を引きます。見事に寒冷の水が下に潜って前線面が分かりやすく示されたので一安心。普段うるさい生徒もこのときばかりはしっかりと最前列でのぞき込んでいました。

 今ではこんな実験はyoutubeでいくらでも出ています。それを見せてさあ次に行くよ…で終わりなのですが、この頃はそうはいきません。そんな授業準備が毎日続きます。この日はとうとう日付が変わっていました。働き方改革なんて全く真逆なので記事にすることもおこがましいですが、それからどうやって今の環境にもってきたかを話す上で必要だと思い、書き綴りました。どちらにしても実験準備は楽しく行えたので「面白く」にはなっています。

コメント