教室の扉を開ける前に、
私はほんの少しだけ立ち止まります。
特別なことをするわけではありません。
誰かに見せるための準備でもありません。
けれど、この小さな時間が、
その日の教室の空気を左右しているように感じています。
黒板に一言、書いておく
朝、教室に入る前に、
黒板の端に短い一言を書きます。
「おはようございます」
「今日は少し冷えますね」
「昨日の続きを楽しみにしています」
内容はごく簡単なものです。
けれど、子どもたちが教室に入ってきたとき、
最初に目にする言葉があることは、
思っている以上に意味があるように思います。
それは授業の指示ではなく、
その日のはじまりの合図のようなものです。
机の上を整える
次にするのは、自分の机の上を整えることです。
教材を広げすぎていないか。
配布物は順番どおりになっているか。
必要のないものが置かれていないか。
机の上が整うと、
気持ちも少し落ち着きます。
慌ただしさを抱えたまま教室に立つよりも、
静かな気持ちで一時間を始められる気がします。
深呼吸をひとつ
最後に、深呼吸をひとつ。
特別な呼吸法ではありません。
ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐く。
それだけです。
この時間に、
「今日はどんな一日になるだろう」と考えることもあれば、
何も考えずに呼吸に集中することもあります。
大切なのは、
そのまま勢いで教室に入らないこと。
自分の気持ちを整えてから扉を開けることです。
小さな準備が、空気をつくる
教室の空気は、
特別な出来事でつくられるわけではないように思います。
日々の繰り返しの中で、
少しずつ形づくられていくもの。
黒板の一言も、
整えた机も、
深呼吸も、
どれも目立つものではありません。
けれど、その積み重ねが、
自分の立ち方や声の出し方に影響し、
それがまた教室の空気に伝わっていく。
そんな循環を感じています。
扉を開ける前の、静かな時間
教室に入る前の数分は、
誰にも見えない時間です。
けれど私にとっては、
その日を始めるための大切な準備の時間でもあります。
完璧な一日にはならなくても、
少し整った気持ちで立てるように。
今日もまた、
扉の前で立ち止まっています。


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